恵佑会第2病院がみんなの健康の悩みを解決します
私事ですが、先日筆者の祖父の七回忌を終え、祖父とのいろんな記憶を思い起こす機会がありました。ふと思い出したのが、祖父の直接の死因。「食べたものが肺に落ちて発症した肺炎」だったのですが、調べてみると、ものを飲み込む機能が低下する「嚥下(えんげ)障害」が原因でした。本人や周りが早めに気づけば対策も取ることができるようです。嚥下障害の症状と対策について、まとめてご紹介します。
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晩年の祖父は特に大きな病気をしていたわけではなく、老人ホームで元気に過ごしていました。最後に会ったのは亡くなる2カ月前で、早朝の電話で知らせを受けたときには、にわかに信じられませんでした。
お葬式の場で肺炎が原因だったと聞かされたので、その後も「高齢になると肺炎が重症化することがあるんだな…」ぐらいの認識でいました。
しかし、「嚥下障害によって肺炎のリスクが高まる」のであれば、普段の食事が寿命を縮める可能性もあるということ。高齢の方やご家族など周りの人には、ぜひ知っておいて欲しいと思うようになりました。
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嚥下障害の症状でやっかいなのは、飲み込んだ食べ物が食道ではなく気管(図の赤い楕円で囲った部分)に入ってしまうことです。
普段の食事中にむせたり、食後に声が枯れたり咳が出たり、水を飲んだ後に痰がからんだような声が出る場合は、特に注意していただきたいです。
嚥下障害を見分けるポイントとして主なものは…
(1)食事中によくむせるようになった
(2)食後に声がかれたり、咳が出たりする
(3)飲み込んだ後も、口の中に食べ物が残っている
(4)食べ物がのどにつかえるような感覚がある
ご本人や周りの方が上記のような気になる症状に気づいたら、ぜひ医師の診察を受けましょう。
病気や加齢が嚥下障害の原因に
嚥下障害を引き起こす主な原因といわれているものの一つが、脳梗塞、脳出血などの病気。脳卒中を発症したことのある方も要注意です。
また高齢になってくると、ものを飲み込む機能そのものが低下することも原因の一つといわれています。
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嚥下障害が起こると、「食べることが楽しくなくなる」「食欲が低下する」「飲み込みやすい食べ物ばかり食べるようになって栄養が偏る」などの問題が起こりますが、もっとも怖いのは、食べ物が肺に入って肺炎を起こすことです。
食べ物が肺に入ってしまうと、そこで細菌が広がって肺炎が起こるリスクが高まります。高齢の方や、病気で入院していて身体が弱っている方の場合、肺炎が重症化すると、筆者の祖父がそうであったように、生命に関わる危険も出てくるのです。
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さて、気になる症状があるので診察を受けたい場合、どこに行けばいいのでしょうか?
「ものを飲み込む」という人体の機能には、口腔や咽頭、食道などさまざまな器官が関わっていますので、嚥下障害の診断には「耳鼻咽喉科」「歯科」「リハビリテーション科」などが対応しています。各部門の専門家が連携して嚥下障害の診療体制を整えている病院もありますので、まずは受付窓口で相談されるのをおすすめします。
病状を調べるには、実際にものを飲み込んだ時の状態をチェックする「スクリーニング検査」、より精密な「内視鏡検査」「造影検査」など、さまざまな検査を行う可能性があるようです。
嚥下障害がたびたび起こる場合、普段からできる対策や対処はあるのでしょうか?
嚥下障害の症状が重くない場合には、まず食べ物を工夫することが有効と考えられています。
・パサパサした食べ物は片栗粉やゼリーなどでとろみをつける
・噛み切りにくい食べ物は小さくカット
・汁気の多い食べ物は少量ずつ盛る
といったものですが、詳細は医師や管理栄養士に相談して食事指導を受けることをおすすめします。
お口のケアも大切に
食べるものを工夫する以外に、お口をケアすることも大切です。
食べ物をうまく飲み込めないために、口の中に食べかすが残って細菌が繁殖しやすく、それらの細菌が肺炎の原因にもなります。毎食後の歯磨きなど「口腔ケア」をきちんとすることも、嚥下障害による肺炎を予防するのに役立ちますよ。
その他にも、リハビリテーション科の指導を受けながらリハビリを行うことで嚥下障害が改善する可能性も。早めに症状を発見して受診すれば、普段からできる対策も色々あるということですね。
ただ、嚥下障害の症状やその原因、対処法には個人差がありますので、やはりきちんと診断を受けて自分自身の状態を知り、専門家のアドバイスを受けながら対処するのが良さそうです。
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